アリスの作り方


「アリスさんすみません」


私がへたりと座り込んでいると、スペードさんの部下の人たちが私たちの周りを取り囲んだ。


「お前らどうした」


そんな部下の行動が予測できなかったのか、スペードさんが怒鳴りながら部下を見渡す。


「女王様のご命令です。あなたを捕えます」
「リター隊長……。すいません」


スペードさんの視線に少し焦りながらも、私から目線を外さずに一人の兵士が私に近付いてきた。



捕える……。



その一言が頭の中を駆け巡るが、それよりも私はジョーカーさんが消えてしまった事がショックでその事が頭の大半を占めていた。


「っ……!おまえら!こんな状態のアリスを」


私を気遣うように私の前に立つスペードさん。


けれど私はそんな事より目の前で先程起こった現実を受け取ることに必死で、ただその光景を見ているだけだった。



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