アリスの作り方
「いえ、結婚式は行ってもらいます」
私の予想に反してティックの口から出てきた言葉。
状況の読めない私に対し一つ一つ説明するように話した。
「あなたが今逃げたら、どうなるかわかりません」
確かに……。
どうなるか予測ができないが、やばい事はわかる。
そしたら目の前の彼は何故ここまで来たのだろう?
口元に手を当てながら彼から発せられる言葉を待った。
「だから……。立ち向かいます」
「えっ?」
怪訝な表情でティックを見つめていたら、彼からは意外な言葉が出てきた。
いや……
よく考えると意外ではない。
ただ急なだけだ、心の準備ができていないだけ。
ゲームなんかでセーブしようと思った時に急にラスボスが出てきたようなもん。
あれは結構悔しかったなぁ。
「結婚式なら、女王も油断していると思います」
苦い思い出が浮かんでしまったせいか、苦笑いしながらティックを見ると、彼は真剣な表情のまま口を開く。
その表情のせいかその言葉が、ずしりとまるでおもりの様に私の心に響いた。
「確かに」
結婚式で花嫁が花婿の母親を倒すって滅多にというかほぼ皆無だろう……。
「けど何で結婚式なんだろー」
私を閉じ込める方法ならたくさんある。
という事は、私の想像もつかない罠でも仕掛けられているのだろうか?