アリスの作り方
「女王はあなたと兄さん……いえ、自分の息子を結婚させる事が目的でした」
「えーっと」
予想外の答えに戸惑いつつもティックの方向を見た。
「未熟な僕を今まで生かしたのも全て女王の計算だったのです」
「?」
私が説明を理解していないのが明白だったんだろう、今度は分かりやすく話した。
それでも私は話の内容を理解できなく、続くティックの言葉を待った。
「アリス候補の人間を適当に連れてきて、それが男だったら捕らえる。女だったら、自分の息子と結婚する」
「何でそんなこと」
私が王子と結婚してメリットがあるとは分からない。
だって私は敵だ。
「アリスが自分の近くにいたら怖いものがないですからね」
つまりは私を……いやアリスを
「自分の味方につける」
と言う事なのだろう……。
自分の手中に抑えてしまえば、それ以上に心強いことはない。
けれどそれには一つ問題がある。
「私が寝首をかいたら」
私は女王の味方になる気はない。
だからこそ私をそばにいる以上に危ないことはないと思う。
それなのにわざわざ自分の義理の息子と結婚をさせてまで、自分の手中に抑えようとしている。
「それすらも考えていると思いますよ」
「……。」
女王の計算高さに寒気がした。
「勝算はあるの?」
女王の前にはどんな計画ですら無意味なもののように感じ、弱気な答えが頭に浮んだ。