アリスの作り方
「ええ、女王の出方を待ちます」
「そんな事して大丈夫なの?」
計算高い彼女なら、私の行動を予測しているはずだ。
特攻ということはもうある意味覚悟は出来ているようなもので、裏をかかれるなんてないけど、その分リスクが高い気がする。
「先ほど言いましたが余裕があるということは、女王には切り札があるはずです」
確かに……
「彼女に切り札を出させる隙を作る前に倒すしかないです」
だからと言って……。
「どうして結婚式に?」
敵の陣地のまん真ん中で暗殺は……ないよ。
「結婚式は誰でも入れるんですよ」
「そうなの?」
不思議の国でも、まして元の世界ですら結婚式を経験したことのないのでよくわからない。
「ええだから、これ以上ないチャンスだと思います。警備も結婚式で手薄になっているはずです」
自信満々に言うティック。
どこに根拠があるのだろう?
「寧ろ、王子様の結婚式だから、警備が物凄く厳しそうなんだけど……。」
拳銃を持った警備員がずらりと並んでいる光景が頭に浮かぶ。
「警備は皆、結婚式に出席しなければいけません」
私が自信がなく少し小さい声で言うと、その日は全ての国民が仕事を休むのでと胸をはりながら続けた。