アリスの作り方
外からファンファーレの音が聞こえてくる。
そう客観的な評価が出来る程、自分の体なのに自分の体ではないような妙な感覚とともに、私は前を見つめていた。
白い膝くらいの丈のまるでパーティドレスのようなウエディングドレスを着た鏡に映った私を。
「アリス様。お綺麗ですよ」
そう言うのは黒と白を基調にしたメイド服を着た女性。
昨晩からスペードさんにかわり私の世話をしている女性だ。
私はアリスであるはずなのにとても優しく接してくれて、今も壊れ物を扱うかの様に丁寧に私の髪を結っていた。
“トントン”
そんな中、突然誰かが扉をノックする音がした。
するとメイドさんは私に対し失礼しますと言うと、私のもとから離れどこかへと向かった。
それからすぐにかちゃりと扉の空く音が部屋の中に響いた。
私は突然の訪問者を気にせずに、まるで誰かの体の中に魂だけ入っているような妙な感じと共に、私は目の前の人形のような私を一点に見つめていた。
「失礼します」
誰かが入ってきたようだが丁度私の死角にいるため誰が入ってきたか見えない。
声も私の耳の中に入ってこなく誰が来たかわからなかった。