アリスの作り方
「ルイ、大丈夫」
熱いからと言いながら私の両頬を触ると、淡々と尋ねる。
「大丈夫……です」
クロノスさんの行動一つ一つに心臓がドキドキしてくる。
それでも、思いきりうなずいてクロノスさんを見た。
「そうなの」
きっと彼には私のドキドキしている原因が自分のせいだと気づいていないらしく。
そしたら母さんの所に行こうと言いながら、私の手を自然と握った。
クロノスさんのぬくもりが左手から伝わってきてさらにドキドキする。
「うん」
それでも……
私はこれからこの世界を救わなければいけない。
今まで現れていた感情を無理矢理抑えると、新婦にはありえないだろう真剣な口調で頷くと私はクロノスさんと共に式場……
いや、戦場へと向かった。
ダイナもう一仕事。
新婦には不釣合いな何故か取り上げられなかった右腿にある小さな相方に心の中で呟いた。
中に入っている昨日ティックから渡された鉛玉の重さを感じながら私は部屋から出た。
覚悟なら……もう出来ているから。