アリスの作り方


「アリス……王子……よく似合っている」


教会に入る前に女王に声を掛けられた。


全ての元凶に……。


「何を考えているかわからないが、変な真似はしない方がいい」


女王が私に対して威嚇するように睨むと、クスリと悪女の様な笑みをした。

まるで全てを見透かされるようなその視線が私の体に突き刺さる。

蛇のような視線で見られると、自分が蛙のようになった気分になる。
恐怖で少し足が震えた。


“ギュ”


私を掴むクロノスさんの力が少し強くなった。

クロノスさんを見上げると……大丈夫と微笑んでくれた気がした……。
その瞬間恐怖が解けた気がした。

怖いけど、心臓がくすぐられたような少し不思議な気分が現れて中和されたようだった。


「義母さん。もう行きます」
「そうだな」


淡々とした口調で王子がそう言うと、態度が豹変したように微笑みながら女王が言った。


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