アリスの作り方


女王が教会に入りしばらくしてから中から扉が開いた。


“ギィー”


重々しい音とともに私の視界が光に包まれた。
光が落ち着くと私達の目の前にはドラマなんかでよく見る教会が現れた。


「行こう」


クロノスさんにエスコートされバージンロードを歩くが、顔見知りは一人もいなく、自分の結婚式なんて気が全くしなかった。

ただ、一番前の席を横切った瞬間、スペードさんと女王がいた。


妙な緊張感とともに歩くと目の前に十字架のネックレスをした初老の男の人の前でとまった。


初老の男の人……神父は目の前の本を見ながら、何かを話している。


何を話しているか分からないが、視線は神父に合わせ様子を伺っていた。


しばらくすると終わったのか、パタンと本を閉じて私たちを見つめた。




「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


少し間を置いてから、クロノスさんに尋ねた。


「認めます」


淡々とした口調でクロノスさんが言った。


「あなたは?」


それから神父さんが私の方を向き尋ねた。


「認め……」「認めません」


私がそう言おうとした瞬間、聞き覚えのある少し高めの男の子の声と、青年の声が聞こえた。



< 271 / 293 >

この作品をシェア

pagetop