アリスの作り方
「悪いですか女王様。俺はこいつにつきます」
「スペードさん」
恐る恐る前を見てみると、私の目の前にはタキシード姿のスペードさんが両手にナイフを構えて立っていた。
「お前を悲しませるなって、あいつにも言われたしな」
私と視線が合うと、格好良く言った。
「あーあ……おいしいとことられちゃった」
そんな私たちの様子を見ながら不満そうな声でボウ君が言った。
「つまんないね」
チェシャがククッと笑うと、鞭を構えた。
と言っても大半の兵士が丸腰で結婚式に出席していたせいか、誰も武器も持たずただ騒ぐだけだった。
「静まれ」
女王がそう言うが、誰も聞く耳を持たずに焦りながら、ティック達を見るだけだ。
私たち優位の展開になった。
“カチャ”
その様子を見てから私は丸腰の女王に拳銃を構える……
形勢逆転だ。
だが女王は計算通りとでも考えているのだろうか、挑発するような鋭い眼光で微笑む。
「私を殺したらどうなるかわかっているのか?」
その動作に焦りやなども感じず、ゆっくりと少し低めのトーンで言う。
「何が言いたいの?」
拳銃を構えながら聞くと女王はチェシャみたいな厭らしい笑みをした。