アリスの作り方
「母上……覚悟」
拳銃が私の意志とは正反対に女王へと照準を合わせた。
“カチャン”
私の意思とは関係なく引き金を引く音がした。
「王子」
私の目の前には計算が外れ、取り乱したような大きく目を見開いた女王。
「あいにく僕には死の恐怖すら感じられないんですよ」
後ろからいつもの様に淡々だけど、どこか冷酷さを持つ声が聞こえた。
“バーン”
“ガシャン”
クロノスさんがそう言った瞬間……
発射音と何かが砕けるような音がした。
そしてまるで世界に色がなくなったような、モノクロ映画を見ているような妙な感じに支配された。
全てがスローモーションで目の前のことがゆっくりと進んでいく。
砂のように地面へと溶けていく女王。
そして私を呼ぶティックやスペードさん達。
“カシャン”
“バタ”
拳銃を支えていたもう一つの手が力抜けるように倒れた……。
後ろを見てみると……
無表情のまま心臓の辺りを抑えるクロノスさん。
「……。」
時間が止まった気がした。