アリスの作り方
沈んでいるような感覚だった、暗い中を深く深く。
意識がはっきりしていないせいか、この状況がよく分からなかった。
どうしてこんな所に居るのだろう。
そして……私は何をしているのだろう。
頭の中にそんな考えが何となく浮かぶが、浮かんだ瞬間に消えてしまう。
『女王ではないけれど、息子にあんな事をしたんだから、責任とってね、ルイちゃん』
暗闇の中、急にロリーナさんの声が聞こえた。
この暗闇とはにつかわないその明るい声は、優しくふんわり心の中に入ってくるようだった。
『早く起きなさい、私の息子が待っているから』
私が何も話さずに、その心地いい感覚に身を委ねていたら、今度は子供を諭すような声が響いてくる。
焦点がうまく合わないが、ぼんやりと上を見るが、暗闇ばかりでロリーナさんの姿は見えない。
「息子」
ロリーナさんの言葉を反芻する。
何を言っているのか、頭がぼんやりしているせいかよく分からない。
息子か……ティックとクロノスさんどっちだろう。
未だに働かない頭の中を無理やり整理しながら、私は深く深く沈んで行き、何処かへとふわりと落ちた。