アリスの作り方
「……。」
ティックが数秒黙る。
妙な緊張が体の中を走るのか、その数秒が少し長く感じる。
「ちっ」
軽く舌打ちすると、私の手を強く引っ張り先へと進もうとした。
苦しそうな顔をしながらも……。
けれど時はもうすでに遅かったらしい。
2、3歩歩いたところで何かが私達の方向めがけて飛んできた。
「ティック!!よけて!」
そう言うと同時に私も紙一重のところでよけた。
風圧が私の頬をかする。
その瞬間”ストンッ“と木になにかが刺さる音。
「ちっ」
ティックが再び舌打ちした。