アリスの作り方

「へぇ~本当に来たよ~。さすが“隊長殿“嫌いなモノ限定で勘は当たるんですね」


声のした方向…――ティックの目線の先を見てみるとそこには二人の男性。

今話した私と年があまり変わらないくらいの青年。
赤みが混じった茶色いクセ毛混じりの髪におっとりした顔立ちをしたいわゆる爽やか癒し系アイドル。
背もそこそこありそうだが、隣の男性のせいであまり高くは感じない。

そしてもう一人は黒い短髪の20代前半くらいの青年。
兄貴分…――そういう表現が似合いそうな少しワイルド系な顔立ち。
長身で細身だが露出している部分からは筋肉が見えるスポーツマン系だ。



そんな正反対のような二人組。

唯一の共通点は二人とも妙な軍服のようなもので身を包んでいる事だった。


「初めまして“アリスさん”。それと……“時の番うさぎさん”」

人を癒す効果のありそうな澄んだ声で癒し系が話す。


「こんにちは……。いや初めましてかなぁ…“アリス様”」

続けてククっと声に出そうな笑みを漏らしながら挑発するようにスポーツマンが言う。


「誰?」


怪しげなものを見るよう彼らを見つめる。

「そんな怖い顔しないでよ。俺の名前はジョーカー。そしてこの不機嫌そうなのはスペード隊長殿」

癒し系ジョーカーさんが爽やかな笑みを漏らしながら優しく話す。
好意的だがなんとなく嫌な感じがした。
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