アリスの作り方
「俺がこんな状態なのに…逃げだそうしないのか?」
とても静かな森の中、沈黙を破るようにスペードが口を開いた。
「こんな状態って」
そんなスペードに話をあわせるようにジョーカーが口を開いた。
「あのウサギ野郎にやられていたところを見ていただろう」
「痺れなら……もう収まっているはずですしね〜ほかになんかやられていましたっけ?」
ため息まじりに話すスペードに対して、ジョーカーはすべてを見透かしたように仮にも上司にからかうように尋ねた。
「いつから気付いていたんだ?」
それがとても意外だったのか、驚きながら真剣にジョーカーの瞳を見ながら口を開く。
そのせいかなんとも言えないピリピリとした緊張感が漂った。
「うーん……いつからだろう。確かアリスちゃんが俺たちの所に話に来たときはもう直っていたよね」
「へぇ〜」
感心しているのかスペードがヒューッと口笛を鳴らした。
「だって時の番ウサギさんもいなかったし、チャンスって思っていたのに」
考える素振りをまじえながらクスリと微笑みながら話すジョーカー。
そのせいか相変わらず本心から言っているかわからない。
「あーもしかして!」
考える素振りをしていたと思っていたら、急に大げさに何かに気付いた素振りをした。
「もしかして…なんだ?」