アリスの作り方
「アリスちゃんにビビッてきてしびれたんでしょう」
それはまるで思春期の男子が無邪気に恋ばなをするように……ジョーカーには相変わらず緊張感の欠片すらない様だ。
「んなっ……んなわけあるか!」
急にそんな話題に振られて困ったのは色恋の話題には疎そうなスペード。
そのせいかたとえその気持ちに身に覚えが無くても、焦っているのが見てわかるようだった。
「でも残念。アリスちゃんは俺が狙っているから」
「はぁ……。」
相変わらず突拍子も無いことしか言わないジョーカーにスペードはため息しか出ないらしい。
呆れた表情で続くジョーカーの話を聞く。
「顔も俺好みだしー。一目ぼれって言うのかな?実は俺もしびれちゃった。」
「……。」
「なーんてね。心が俺を求めたって言うのかな。俺って心欠けてるというのかな?感情の怒と哀が少しずつ欠落しているじゃん。そんな俺の心が……欠けてる部分が補うように求めていた……」
軽くそう話すが表情は少し曇っている。
まるでめったに現われない自分の感情を考えているかのように。
「……そうか」
なにか心当たりでもあるのだろうかジョーカー同様に曇り気味の表情をしながら呟くようにうなずく。
「次の仕事もやりにくそうだ」
そして……隊長は部下に聞こえるか聞こえないかわからないくらい呟きを漏らした。