アリスの作り方
「目をつぶっていてください。僕が誘導しますから」
私の考えを悟ったのか、ティックが私に向けて優しく手を差し出してきた。
「……」
なんとなくその行動に男らしさを感じてしまい、少し気恥ずかしくなってしまった。
「ありがとう」
視線を少しはずしてから、ティックの手を握る。
「ゆっくり行きますね」
私と視線が合うと、微笑みながら、私の手を優しく引っ張った。
ティックの手の温もりにドクンドクンといつもより心臓の鼓動がはやくなったように感じた。
「それでは行きます」
その言葉が合図で、私は目の前が真っ暗の中私は歩いていた。
少し恐怖はあったけど、時折“大丈夫ですよ”“あと少しですから”などと、目をつぶっているため見えない私の目の代わりになってくれたため、そこまでそれは感じなかった。
「もう着きましたよ」
その言葉とともに目を開けると、目の前にはおとぎ話に出てくるようなファンシーな家があった。