アリスの作り方
そういいながら現われたのは20代前半くらいの男性。
ティックより頭一つくらい高く筋肉のあまりついていなさそうな細身の体をしている。

黒髪、黒目で黒スーツで、最近良く聞く執事喫茶にいそうな人だ。
TVでしか見たこと無いからわからないが……。


そんな執事さん（仮）は私を見ると一瞬不思議そうな顔をした。


「ビル、こちらのお方がアリス様です」


ティックが私を紹介するように私と執事さん（ビルさんというらしい）の間に入り話した。


「あっ……あぁーそうですよね。こんな可愛らしい方に“アリス”という名前が似合いそうもなかったので……つい」



「？」


おかしな言い方だ。“アリス”といわれて浮かぶイメージは可愛らしいロリータファッションの少女だ。

可愛いから似合わないなんてなんか嫌味のようである。
そんな私を横目にビルさんが付け足すように続けた。


「貴女には勇者よりお姫様のほうがお似合いです」


爽やかな微笑みを絶やさずにサラッというビルさんは執事と言うよりホストのように感じだった。
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