星屑
ヒロトはいぶかしげに眉を寄せている。


スッチまで興味津々といった顔でこちらを見るが、思わずあたしは顔を上げた。



「…そんな風に見える?」


言葉にした瞬間、スッチは大爆笑をしてくれる。


ヒロトに至っては、天然かよ、と呆れた顔に変わってしまうが。


ただ、本当に何もわからないのだ。


勇介とは兄妹のような感じだと思っているし、ヒロトとは単にじゃれあっている喧嘩友達のようなもの。


その感情は、“好き”とは違うと思ってるけど。



「じゃあさ、奈々ちゃんはひとりでぼけーっとしてる時、不意に顔が浮かんだりする人とかいないの?」


「…え?」


「例えばさ、無性に顔見たいなぁ、とか、あの人って今、何やってるんだろうなぁ、って思う人とか。」


スッチは笑いながら聞いてきた。


首を傾げて想像してみれば、ふと勇介の顔が頭に浮かぶ。


次の瞬間には、そんな自分自身に一番驚いた。



「あ、誰か想像したっしょ。」


びくりと肩を上げてみれば、相変わらず笑顔のスッチ。


ヒロトの顔が見れなくなって、余計に居心地の悪さを感じた気がした。



「キムタクの顔だった。」


ぼそりと言ったあたしに、呆れるような顔だが、やっぱりヒロトの瞳が刺さって痛い。


やっぱ奈々ちゃん天然だー、とスッチはこの日一番の大爆笑をしてくれた。

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