星屑
教室へと入ってみれば、若干みんなの視線が気になるのだが。


ひそひそと話している連中を一瞥し、舌打ちを混じらせながら席へと向かう。



「ちょっと奈々!
沙雪の馬鹿どうにかしてよー。」


まるで、わざと空気を変えるように声を張った樹里。


彼女はそう言いながらも、周りの連中を一睨みし、あたしに向けて笑った。


まったく、頼もしい親友だ。



「この馬鹿ギャル、さっきから何度も同じことばっか言うんだよ?」


「そりゃ鬱陶しいね。」


笑いながら言ってやると、沙雪はぷーっと頬を膨らませた。


クラスメイト達は、影でこそこそと噂を立てているようだが、ヒロトが怖いのだろう、表立ってあたし達に何か言うこともない。



「樹里も奈々も祝福してよー。」


「はいはい、おめでとー。」


「それ棒読みじゃーん!」


沙雪をいじるのは、結構楽しい。


樹里とふたり、お腹を抱えて笑ってしまう。



「まぁアンタ、今度こそ浮気されないようにね。」


「大地はそんなことしませんー。」


相変わらず母親のような樹里と、べーっと舌を出した沙雪。


あたしはそんな口喧嘩を前に、苦笑いしか出なかったわけだけど。


大地くんは見るからに浮気しそうな系だけど、沙雪には本気になってほしいと、心から思う。

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