星屑
くだらない会話も、談笑も、もしかしたら上辺だけだったのかもしれないけれど。


でもあたし達は、誰もそれに触れたりはしなかった。



「あ、アルバム発見!」


本棚に立て掛けていたそれを取り、沙雪はぱあっと顔を明るくした。


その存在には気付いてたけど、でもあたしは見たいと思ったことがなかったものだ。



「ねぇ、これって見ても良いの?」


そう言った瞬間、



「触んなよ!」


ヒロトはひどく恐ろしい顔をして、彼女からアルバムを取り上げた。


沙雪はびくりと肩を上げ、反射的にごめんと謝る。



「おいおい、そんな怒んなっての。」


スッチは笑いながらも、ヒロトをなだめようと必死そう。


あたしもまた、その様子には驚いて、一体何なのかと思ってしまう。



「つーか、見てもつまんねぇって。」


背を向けるのは、ヒロトの癖。


あたしと沙雪は顔を見合わせ、でもスッチはため息を混じらせた。



「それってもしかして、中学の頃の写真?」


「…関係ねぇよ。」


「お前、まだそんなに大事にしてんのかよ。」


ふたりの会話の意味がわからない。


ただ、見てしまえば取り返しがつかなくなってしまいそうで、だから怖かった。

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