未練〜キミガスキ〜
家に着いたトキには約束の時間を10分くらい過ぎていた。

「やばぁ!…ママ!ちょっと出かけてくるからね!」

あたしはそう言って,自転車にまたがり,約束の場所の公園へと全速力でこぎはじめた。

公園に近付くと,後ろからよばれた。

「はる!」

「あっ…ゆぅ…」

「遅いから心配して,おまえん家迎えにいこうと思って」

「ゴメン…長引いちゃって…ゴメンね」

「まぁ,なんにもねぇならいいけどよ!早くいこうぜ!」

「うん…」

「あっ…優」

「ん?」

「優,走っていくの?」

「あ〜うん。兄貴にチャリとられたし。」

「じゃああたし歩くよ。」

「いや…いいよ。俺平気だし…」

「やだ…」

「え〜じゃあ…一回チャリ貸して。」

「うん…はい」

「はるはコッチ♪」

そう言った優が指差したところ…それは
自転車の荷台。

「もしかして…」

「ふたりのり〜♪」

「重いよ?」

「俺のほうが重いもん。おまえより5キロ。」

「なんで体重知ってんのぉ〜!」

「彼氏だから♪」

「ふぇ!」

優はあたしをさっと荷台に乗せた。

「よゆ〜♪」

優はニカッと笑い,ピースしてる。あたしはそのかわいい優の笑顔に負けて…

「出発してください…」

そう言うしかなかった。

「つかまんないと落ちちゃうよ!?」

あたしは荷台のほうにつかまった。

「そっちじゃやだぁ〜♪」

優はそういうと,あたしの手をさっと優の腰に回した。

「こっちね♪」

「恥ずかしぃぃ…」

「レッツゴー♪」




あたしは恥ずかしくてたまらなかった。
顔が赤くなってたあたしは,優の背中で顔を隠した。

すると…

「はぁ〜る!」

「ん?あっ!ついたぁ!」

「かわんねぇなぁ!」

「卒業してからまだ…二週間だもん。」

「んじゃあ職員室からいきますか!」

「うん!」

あたしはトコトコ歩き出した。お世話になった先生達に会えると思うと,胸がはずんだ。

「ストップ〜!」

「ん?どうかした?」

「どうかした?じゃねぇよ!」

「え?」

「ん…」
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