恋の証
恋の証
「っ…遥…、ごめ…ん…っ…」
病室で、私の恋人の信也は急死した。私でも分からなかった信也の症状。
肺に癌が出来ていたのだ。
「もう喋んないで!私、信也が死んだらっ…」
冷えた手で私の頬を撫でる。
暖かくてゴツゴツしてた手、今では冷えでガリガリになっていた。
「…笑…て……?」
喋るのも精一杯の信也、
肌も唇もカサカサだけど、私はその唇にキスを落とし、
笑った。
「……信也…?」
満足げな顔をして旅立った信也は、誰よりも愛おしい。
「…っ…、ゃ…信也ぁ…!」
もう、声は届かないんだね。
名前を呼ぶことも、喧嘩することも…
やきもちも笑うことも、買い物も歩くことも、出来ないんだね。
信也、愛してる。