[短編]在りし日の記憶
記憶
「あ〜疲れたっ!」
私はバスを降りて、まず深呼吸をした。
『小雪野行き』のバス。
小雪野は山の奥。
小さな町がある。
私が、小さい頃住んでいた町。
私、西山 奈々津 17歳。
今日は、春休みを利用して、久々に小雪野に来てみた。
そして、今日は『あの日』でもある。
そう。
母の命日である。
母が亡くなったのは私が5歳の頃。
全く覚えていない。
ただ、ここに来たら母との思い出がありそうで…。