[短編]在りし日の記憶


「奈津おねえちゃん……??」

「…ふっ……う…えっ……っ!!」

私は流れる涙を止めようとはしなかった。

初めての母の思い出が、死ぬ間際の思い出なのは、辛い。

でも、母の最後の言葉が私に送る言葉だったなんて。

「奈津おねえちゃん…なかないで??
かなしいの??」

「ううん…嬉しいの……。」

心からの悲しさと嬉しさ。

『ありがとう』

だなんて……。



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