愛しの俺様くん
その言葉と同時に、また廊下に『きゃー!!』と響き渡った。

耳をつんざくようだった。

慌てて耳を両手でしっかり塞いだ。

「ほーらっ!心愛もいくよ!!」

せっかく塞いだ耳はまた表わになってしまう。

「いきたくないー!!」

南にずるずると引きずられながら、叫ぶ。

なんであたしも片瀬くんの取り巻きにならなくちゃいけないのよ!

「あんたに王子の素晴らしさを分かってもらわなちゃ」

素晴らしさって…。十分分かってますよ。

片瀬くんは、常に学年トップで、運動神経抜群。

しまいには大手企業のお坊ちゃま。

そしてそして、なんといってもあの美貌。

十分素晴らしさは分かってる。

「分かってないわよー、心愛は。」


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