月夜の送り舟
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日も暮れて、丸い月が顔を出す頃になるとどこに隠れ棲んでいたのか、数え切れないほどのカッパたちが集まってきました。
花嫁は虹色に輝く反物を頭から垂らし、サイが舟で来るのを待っています。
月が雲に隠れた、丁度そのときでした。
天の川が降りてきたと誰もが思いました。
ため息とも感嘆の声ともつかぬどよめきに河原は包まれました。
上流からサイの漕ぐ送り舟が光に包まれてやってきたのです。
竹をくりぬいて作った灯籠を何十個も重ねて舟のまわりに飾り、そのひとつひとつに火が灯してありました。
それが河面に反射して、何百何千という光の粒になって流れてきたのです。