風鈴



紫は、竜に傷がつかないように、べっこう飴を包んでいたビニールを竜に被せた。



そして、まるで琥珀のように輝く綺麗なべっこう飴を、少し舐めた。



「甘い」



「そりゃあ、そうだろ」



「ふふふ」



口に広がる優しい甘み。



市哉との間に流れる穏やかな空気。



そして、縁日の高揚感。



そのどれもが心地良く、紫は、久しぶりに本当の幸せを感じていた。




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