風鈴



紫は、草履を無造作につっかけて、玄関を出た。



すると、すぐに隣家の四歳の女の子につかまった。



「ゆかりねえちゃん、おまつりいくの?」



身の丈が紫の半分ほどしかない幸子が、紫の浴衣姿を見上げている。



空色の浴衣が、少女の明るい笑顔にとても似合っていた。



「あら、さっちゃん、こんばんは。お祭り、一緒に行く?」



言いかけている間に、もう紫の左手は幸子の右手と繋がっていた。



無邪気で素早い行動に、思わず笑みがこぼれる。



「おまつり、いこう」



「行こう、行こう」







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