風鈴



「ああ、転んだときに気を失ったみたいだ。もう目も覚ましたから…うわっ、と、大丈夫かい?」



紫は、気が抜けて、その場にへたり込んでしまった。



どうにかして紫を部屋の中に連れ込むと、市哉はようやく房子の姿がないことに気がついた。



「友達は?」



「…母を呼びに、畑まで…」



蚊の鳴くような声でそこまで言って、紫はハッとした。




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