風鈴



「房子さん、身重なのに…。大丈夫かしら」



不安げに言う紫に、市哉は、



「多少の運動は、かえって妊婦の体にも良いくらいだよ。心配いらないさ」



と、笑顔を向けた。



「…そう…ですか」



それから紫は、市哉と、奥の部屋で父に付き添う和哉に、お礼を言った。



しばらくして父の容態が落ち着くと、和哉と市哉は、



「ちょくちょく様子を見にくるよ」



と言い残して、帰って行った。




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