風鈴
雪乃は大歓迎で紫を迎え入れ、紫もそれを喜んだ。
それからというもの、紫は週に一度は川端家を訪れるようになっていた。
やがて、『市哉先生』が『市哉さん』になり、敬語も使わなくなった。
あれから間もなく五年―
「…最後に行ったのは、もう半年くらい前になるかしら…」
紫が回復に向かうと、通う間隔もどんどん広くなっていった。
「どうして来なくなったの?雪乃さんも寂しがってるよ」
「ありがとう、でも…」
紫には、いつまでも彼らの好意に甘えていてはいけない、という思いがあった。