風鈴



「ちょっとは成長したし、今年はもう、ぐずったりしないと思うわ」



と、房子は目を輝かせる愛娘を見ながら言った。



「たった一年で、大きくなったわね」



紫も感慨深げになっていた。



「毎日退屈だけど、さっちゃんの成長を見るのが唯一の楽しみだわ」



紫がそう言うと、房子はうれしそうに、



「ありがとう」



と言った。




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