運命の扉
全員の出欠を取り終え、ホームルームが始まる。
「じゃあ、クラス役員決めます。クラス委員長やりたい人いるかなー?」
ほとんどの生徒が、先生から机と視線を下げた。
……ただ1人を除いて。
「はい!俺やりまーす!」
声のする方を見ると、元気よく手を上げる真中くんの姿があった。
「本当?助かるわー。ありがとう!」
先生は嬉しそうに、黒板へと真中くんの名前を書いた。
「男子から委員長が出ので、女子で副委員長やってくれる子はいないかな?
他推薦でもいいんだよ?」
他推薦って言ってもクラス替えしたばっかで無理なんじゃ……
「はい!」
また、真中くんが手を挙げた。
「俺、井上さんがいいと思いまーす!」
えっ、あたし!?!?
クラス中の視線が、あたしへと集まる。
「井上さん、委員長、直々の推薦どうかな?」
どうって……
「他にいないみたいだし。」
「やれば?」
横から悠斗。
「良いじゃん、やろー!」
ほぼ端と端の距離から、真中くんがニーっと笑いかけてきた。
みんなの視線はあたしに向けられたまま。
黙ってれば黙ってるほど断れない空気が増してく。
「……わかりました。やります…。」
断る理由も見つからず、仕方なく返事をした。