運命の扉
◆:放課後
全体集会を終え、帰りのSHR。
「今からプリントを配るから、そのアンケートに答えてね。書き終わった人から帰っていいわよ〜!」
向井先生は、アンケートを配り始める。
手元に渡った紙には
【プロフィール】
の文字。
《誕生日》《趣味》《所属部活》
と、その他にも質問項目が挙げられてる。
「みんなが円滑にコミュニケーション取れるように、冊子にまとめたいから宜しくね!書き終えたら、男子は真中くん、女子は井上さんに渡して下さい!」
新学期早々、役員の仕事か……
莉紗に連絡しなきゃ。
あたしはカバンから携帯を取り出してメールを打つ。
『副委員長になっちゃって、仕事任されてしまった(>_<)
今日は優斗と先に帰っててもらえるかな?
本当にゴメンね(;´人`)』
〔送信〕
「優斗〜、悪いんだけど、先帰ってて?」
「あっ?」
「莉紗と、先に帰ってて。」
「俺、今日から部活なんだけど。」
ペンを持つ手を動かしながら、無愛想に言った。
「えー!どうしよう…」
莉紗、1人で帰ったことなんてないのに。
「心配なの?」
優斗はペンを机に置いて、あたしを見る。
「心配っていうか…1人で帰ったことなんてなかったから…。」
「莉紗もそこまで寂しがりやじゃないだろ。俺からも言っとくから。」
「うん…」
1人の生徒が書き終え、あたしの机に足を向け始めると次々とアンケートが集まってくる。
「じゃ、俺帰るわ。」
優斗も真中くんの席へプリントを置くと、教室を出ていってしまった。