運命の扉
いつも3人一緒が当たり前で、優斗がいない時は莉紗と2人。
同じ道を歩いてるだけなのに、景色は全く違って見える。
莉紗と敬ちゃんは仲良く会話を繰り広げてる。
ふと、体育館に視線を移す。
ちょうど休憩中なのか、優斗が扉の前でペットボトルを片手に座ってる。
汗で濡れた前髪を春の風が気持ち良く揺らした。
ドキッと胸が高鳴る。
鍵をかけた扉がかたかたと音を立てた。
遠くから優斗を見つめると、しまい込んだ気持ちが寂しそうにする。
その気持ちをぐっと堪えて、2人の輪へと時間を戻す。
「ねぇ、2人は内原とどういう関係なの?」
「優斗の両親と、莉紗たちの両親が仲良しで。お家も隣同士だったから。」
莉紗が答える。
「そうなんだー!俺、てっきり莉奈と付き合ってるから仲良いって思ってた。」
「優斗とは腐れ縁。小学校からずっと同じクラスだったの。ただ、それだけ。」
あたしは淡々と話す。
「良かったー!」
敬ちゃんは両手を高らかに挙げた。
今の声が校庭中に広がり、みんなの目があたしたちに向けられる。
その中に優斗の姿。
一瞬、目が合った。
優斗は何事もなかったように体育館へ戻ってしまう。
ズキッ。
ほら、また扉がカタっと音をたてる。