運命の扉
敬ちゃんを見送り、2人で歩きだす。
「真中くんって、莉奈に興味があるんじゃない?」
莉紗がくすっと笑う。
あたしに興味……?
「だって、莉紗には聞かなかったよ。アドレス。」
そう思えば……
聞いてなかったかも。
「いい人そうだね。」
莉紗は、どうしてこんなこと言うんだろう。
「…うん。」
あたしは静かに頷く。
「莉奈と真中くんが付き合ったら、莉紗も頑張ろうかな。」
えっ。
思わず莉紗の顔を見る。
「優斗に…告白しようかな。」
高鳴る鼓動。
体が一気に熱を保つ。
「…そっか……」
言葉が上手く出てこない。
「でも、まだそんな段階じゃないか。真中くんと出会ったばっかりだもんね。」
また莉紗が微笑む。
「そ、そうだよー!あたし今日知ったんだよ?」
あたし……
ちゃんと平然装えてるかな…
「ふふっ。莉奈にも早く好きな人出来ないかな〜。」
「どうなるのかねぇ〜。」
「お互い恋の相談したりしたいな。」
「あたしも出来ればしたいよ〜!」
扉が完璧に閉じるのは
一体いつになるんだろう。
敬ちゃんが現れて
平気だったはずの気持ちが
寂しそうに音をあげ始めた。