運命の扉
中学2年の夏休み、思い切って莉紗に相談しようとした。
「ねぇ〜、莉紗って“好きな人”いる?」
なんとなく、
ただなんとなく。
恋の話に流れを持っていきたかったから聞いてみた。
そしたら、莉紗は顔を赤らめた。
「いるの?」
静かに頷く莉紗。
「誰?!どんな人ー?
あたしが知ってる人?」
上目遣いで、あたしの顔を見つめる。
「絶対、誰にも言わない?」
「言わないよ!」
「んーとね。」
恥ずかしそうに、目線を下げて
「優斗……」
と莉紗は答えた。
優斗…
正直
聞かなきゃ良かったって思った。
まさか
双子の妹と好きな人が同じになるなんて…
「そっ、そうなんだ!優斗優しいもんね。
うまくいくと良いね!」
心にもないことが、口からポンポン出てくる。
「ありがとう。」
.