運命の扉
テーブルに並べられた料理。
さっきまな板の上に置かれていたほうれん草としめじは、クリームパスタへと変身している。
他にもサーモンと水菜のサラダ、デザートの杏仁フルーツポンチ。
「美味しそう〜★いただきまーす!」
空腹の胃に温かいパスタを入れる。
「今日は何かあった?」
3人で食卓を囲みながら恒例(?)のガールズトーク。
お父さんの帰りが遅い平日は、女同士の内緒話。
「莉奈にね、いい人が現われたの!」
最初に口を開いたのは莉紗だ。
「そうなの?」
お母さんがあたしに問いを投げる。
凄く嬉しそう。
「そんなことないよ。莉紗が勝手に言ってるだけ。」
だってあたしは分からないもん。
敬ちゃんがどんな風に思ってるかなんて。
「どんな子なの?」
「身長が高くて、爽やかな感じ。野球部なんだって。」
莉紗とお母さんが盛り上がってる。
恋愛の話がようやく出てきて2人共嬉しいんだろうな…
でも…
あたしは1人複雑な気持ちで2人の会話を聞いてるだけだった。
鍵はかかってるのに、扉に隙間が出来てる。
冷たい風が吹き込む。