運命の扉

テーブルに並べられた料理。

さっきまな板の上に置かれていたほうれん草としめじは、クリームパスタへと変身している。

他にもサーモンと水菜のサラダ、デザートの杏仁フルーツポンチ。

「美味しそう〜★いただきまーす!」

空腹の胃に温かいパスタを入れる。

「今日は何かあった?」

3人で食卓を囲みながら恒例(?)のガールズトーク。

お父さんの帰りが遅い平日は、女同士の内緒話。

「莉奈にね、いい人が現われたの!」

最初に口を開いたのは莉紗だ。

「そうなの?」

お母さんがあたしに問いを投げる。

凄く嬉しそう。

「そんなことないよ。莉紗が勝手に言ってるだけ。」

だってあたしは分からないもん。

敬ちゃんがどんな風に思ってるかなんて。

「どんな子なの?」

「身長が高くて、爽やかな感じ。野球部なんだって。」

莉紗とお母さんが盛り上がってる。

恋愛の話がようやく出てきて2人共嬉しいんだろうな…

でも…

あたしは1人複雑な気持ちで2人の会話を聞いてるだけだった。

鍵はかかってるのに、扉に隙間が出来てる。

冷たい風が吹き込む。


< 31 / 70 >

この作品をシェア

pagetop