運命の扉
いつもなら楽しいはずの食事。
いつもなら美味しいお母さんの料理。
今日は出されたものを、無心に胃へと流し込むだけだった。
「ごちそうさま。」
一番最初に席を外し、食器を流しへ運ぶ。
莉紗と盛り上がったままの調子でお母さんは
「あら、今日は食べおわるの早いんじゃない?」
と言った。
「そう?」
意識はないのにそっけなく答えてしまう。
「お風呂炊いたら声かけるから。」
「うん。」
あたしは1人、部屋へと戻る。
イスに座ると一気に力が抜ける。
「はー。」
溜め息が出る。
下ろした目線の先には携帯がイルミネーションを発している。
携帯を開きかけていたことを思い出す。
受信ボックスを見ると、知らないアドレスからのメールが届いていた。
『
200*/04/07 17:54
subject:こんばんは
―――――――――――
真中敬です。
さっきはアドレスありがとう。
登録よろしくね!
』
時計を見ると20時を示している。
かなり待たせちゃったかも……
急いでメールを返す。
『
subject:
―――――――――――
メールありがとう★〃
登録しました。
』
これで一安心、と思ったのも束の間。
すぐに携帯が音をたてた。
『
ありがとう
委員頑張ろうね
』
『
うん
よろしくね
』
『
明日から放課後部活なんだ
迷惑かけるかもしれないけど、その時はごめんね
』
『
大丈夫だよ
では、また明日
おやすみなさい
』
凄く、返信が早い。
あたしマメじゃないから、時間がある時しかちゃんと返せないかも……