運命の扉

教室へ着くと、美佳は既に到着していた。

「おは〜!」

「おはよう。」

「これ、呼び出しちゃったから。」

と、温かいココアをくれた。

この子は本当に気がきく子だ。

「屋上の階段行かない?」

「うん。」

あたしたちは、教室から屋上の階段へと歩き始める。

今はどこも安全面を考慮して、屋上へは許可がない限り入ることは許されない。

大概、女の子が内緒の話をするのは中庭か、屋上へ続く階段か、教室のベランダ。

中庭は生徒が集まり始める時間帯、カップルが朝の挨拶を交わすために多くなる。

ベランダは、男子が隣のクラスへちょっかいを出すために使い始める。

屋上は、人気を感じると誰も邪魔してはこない。

早い者勝ちってやつ。

美佳が屋上を選んだのは、きっと重要な話があるから。

少し緊張しながら足を運んだ。

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