運命の扉

教室に戻ると、生徒達の声で賑やか。

「優斗おはよ〜」

美佳が優斗の姿を見つけると、声をかけた。

「お〜、おはよう」

「珍しいじゃん、朝早く学校来るなんて。」

「ちょっとねぇ〜。」

美佳がニヤニヤしながら答える。

「なんだよ。」

「ガールズトーク!」

「はっ?」

「ガールズトークしてたの。」

「ガールズトーク?んなの毎日してんじゃん。」

「わかってないな〜。今日は2人だけの秘密を語り合ってたのさ。」

テンポよく弾む会話。

「うちら、また親密な関係になったもんね〜。」

美佳はあたしの机に肘をついて、優斗に自慢げな顔をした。

「あ〜そうですか。」

♪キーンコーンーンコン

会話に空白が出来たと同時に、タイミングよくチャイムが鳴った。

「早く席戻れよ。村上と話してると朝から疲れる。」

呆れたように笑う悠斗。

「はいはい。」

美佳は渋々と自分の席に戻っていった。

「なんの話?」

美佳を見届けてたら、優斗に声をかけられる。

「へっ?」

「今日のガールズトークは。」

「えっ、あ〜。」

「なに。」

「恋愛の話。」

「…恋愛?」

「うん。」

「…そっか。」

いつもはどういう話をしたとか、深く聞いてくるのに、今日は追求されない。
聞かれても答えられなかったからよかったけど。
ふと見た優斗の遠い目があたしを不思議な気持ちにさせた。


< 41 / 70 >

この作品をシェア

pagetop