運命の扉

「みんな、おはよう〜!」

向井先生が今日も元気に教室へ入ってくる。
いつもこのテンションなのかな?


「じゃあ、委員長に朝の挨拶頼もうかな!」

明るい声で敬ちゃんに挨拶を頼んだ。

先生の視線が敬ちゃんの座席へと移る。
勿論、クラス中の視線も。

「・・・!また遅刻!?も〜。新学期始まってまだ2日目なのに。」

ガクっと肩を落とした。

敬ちゃんが教室にいないのは、朝練の練習が押してるからなんだろうな。
理由なく遅刻するような人じゃないと思うし。

「井上さん、お願いしてもいい?」

「あっ、はい。起立、おはようございます。」

挨拶ってこれでいいのかな?
あたしの言葉を生徒たちが復唱し、イスへ座る。
と同時に後ろのドアが勢い良く開いた。
まるで、タイミングを見計らったかのように。

「すいません!遅れました!」

はにかみ笑顔で敬ちゃんが教室に入ってきた。
制服のネクタイが少し緩んでいる。
きっと彼なりに急いで着替えてきたんだろう。

「も〜。まだ2日目なんだからね!」
「は〜い。」

一瞬、目があった。
口パクで「おはよう」と挨拶される。
小さく頷いて笑顔で返した。


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