運命の扉
「真中くん、井上さん」
SHRが終わって、向井先生に呼ばれた。
「昨日はアンケート回答ありがとう。昨日、全部目を通したんだけど、凄く面白かったから早く展開したいの。今日の放課後にお仕事お願いしてもいいかな?」
あたしは大丈夫だけど…。
チラっと敬ちゃんを見上げる。
「あー、俺部活だ。」
「そうだよね。」
向井先生はたった一言で全てを察したかのように返事をした。
「井上さんは?」
「あたしは大丈夫です。」
「1人じゃ大変よね…」
「俺、やりますよ。」
優斗が自分の席から返事をした。
凄く冷たい声。
進んで委員やってるわけじゃないしね。
『内申書』のため。
だから助っ人するってわけか。
なんか…感じ悪い。
「ありがとう〜、本当に助かる。放課後、また声かけるね。」
「内原〜。サンキュー。」
敬ちゃんがニーっと笑いながら優斗の肩を軽く叩いた。
「おう。」
真逆のテンションで返事をする。
ちょっとは愛想みせればいいのに。
普段は気さくなくせに、そっけない態度を取る気持ちがわからない。
「莉奈、ゴメンね。残れなくて。」
申し訳なさそうに謝られる。
「ううん。部活なら仕方ないよ。今日は優斗がいるし、気にしないで。」
「ありがとう!莉奈は優しいね。」
ドキッ。
小さく鼓動が高鳴った。
ただ、微笑まれただけなのに…