運命の扉
「お前が心配する気持ちもわかんなくねぇけど、莉紗のために早く帰らせろよ。」
そう言って、自分の席へ戻っていった。
黙って優斗の背中を見つめることしか出来ない。
ずっと一緒にいられないなんてわかってる。
わかってるけど、あたしは優斗みたいに突き放すことなんて無理だよ。
「莉奈。」
あたしたちの様子を心配して、美佳が傍に来てくれた。
「大丈夫?優斗かなり怒ってたけど。」
「莉紗のために、一人行動慣れさせろって言われちゃった。」
「ん〜、あたしもちょっとは思うけどね。」
美佳は肩をすくめて苦笑いをした。
「…そうだよね…」
「とりあえず、今日はあたしが莉紗と一緒に帰ろうか?」
機転をきかせてくれた。
空気を読める人って凄いと思う。
あたしには無理だもん。
「すぐに一人は慣れないと思うし、莉紗には事情説明しとくね!」
「ありがとう。」
「いえいえ〜。じゃあね!」
美佳は急いでカバンを手に取り、笑顔で教室を出て行った。
あとでお礼のメール送らなきゃ。