運命の扉
遠くから聞こえる生徒たちの声。
オレンジ色の光を放つ太陽。
教室の独特な静かな空気があたしたちを包み込む。
答えが見つからないまま、優斗を見つめることしか出来ない。
静かな空気を破ったのは向井先生だった。
「ごめんね、お待たせ〜。Aクラスの吉田先生に話しかけられちゃって。」
両手に抱えたプリントを、あたしの机の上に置いた。
「これ、よろしくね。さっきも言ったと思うけど、誕生日順で。」
「わかりました。終わったら先生のところに行きます。」
プリントと睨めっこのあたしの変わりに、優斗が色々と作業について話を進める。
「ありがとう。待ってるわ。」
仕事を引き継いで、向井先生は職員室へ戻っていった。
「早くやろーぜ。」
優斗は机の上にあるプリントの山から男子分を取り、仕事に取りかかる。
「これ全部やるのー?」
ため息しか出てこない。
これが終わるまで2人きりなんて、神様は意地悪だ。
「仕方ねぇだろ、仕事なんだから。さっさとやれよ。」
「わかったよー。」
本当、言葉にトゲがある。
理由なく怒るような人じゃないし。
…あたし、自分が気づいてないだけで気に障るようなことしてるのかな。