運命の扉
教室に戻り、帰る支度をする。
「送ってく。」
「大丈夫だよ、すぐそこだし。」
「だ〜め。女の子なんだから。」
ちょっと強引な優しさを受け取る。
既に黒い闇に包まれた空は、寂しさを消すように小さな光を散りばめていた。
転々と点いている教室の明かりを道しるべに、歩く。
「日曜日、どこ行こっか。莉奈は行きたいところある?」
敬ちゃんは嬉しそうに、デートの予定を考えてる。
その姿が可愛くみえてしまう。
本当に素直な人…。
「あたしはどこでもいいよ。」
敬ちゃんとならどこでも楽しめる気がする。
「うーん。動物園?それとも映画の方がいいかな。…………っ。」
急に言葉に詰まり、歩く足を止めてしまった。
「???」
「…俺……女の子とデートとか初めて…なんだよね。」
顔を赤く染めながら恥ずかしがる敬ちゃん。
意外。
モテるって聞いてたから、てっきり彼女の1人や2人いるかと思ってたのに。
どうやら……違うらしい…。
「あっ…そうなんだ…。」
なんだか、あたしまで恥ずかしくなる。
連鎖反応ってやつだ。