運命の扉
◆:選択
敬ちゃんは、あたしを家まで送ってくれた。
「送ってくれてありがとう。」
「ううん。」
「気をつけて帰ってね。」
「…さっきのこと…」
「…ちゃんと考えます。」
「ありがとう。」
「また明日。」
「バイバイ!」
太陽のような笑顔であたしに大きく手を振り、敬ちゃんは駅へと向かっていった。
その後ろ姿を見えなくなるまで見つめる。
あの後、戸惑うあたしの姿を見て話を変えてくれた。
急な出来事で、上手く言葉を探し出すことは難しかった。
申し訳ないと思いつつ、たわいもない会話をした。
敬ちゃんの優しさは、真剣に気持ちと向き合わなきゃいけない、と思わせてくれたんだ。
ねぇ。
あなたなら、あたしを幸せにしてくれる?
小さくなっていく背中に心の中で問いかけてみた。