年下カレシに蜜な罠
さっきよりも騒がしい校舎内。女の子たちの笑い声。
「凜久のクラスは朝来たときにバッチリチェックしてるんだ」
気合い、入ってるね。
そう言ってクスッと笑うあおい。
でも凜久はモテるから…、もう他の女の子からお花を付けられちゃってるかも…。
早く凜久に会いたい一心で、足を急かす。
目的のクラスに近付いた時…。
「どうやら、予想以上に――…」
あおいの言葉の続きは甲高くて、悲鳴に近い叫び声のような女の子たちの声によって掻き消されてしまった。
や、やっぱり――…。
ドクドクと不安を煽るようなリズムで私の心をかき乱す鼓動が、前に踏み出す足をピタリと止めてしまう。
こんな事で弱気になってちゃいけないのに。
…私の方が、年上なのに。