年下カレシに蜜な罠
「名字はなんて言うの?」
「えっと、楠木…。楠木…遊くんだよ。」
「そっか…くすのき、ね――」
何かを確かめるように――
凜久の唇がスローモーションのように見えた。
「おはよう、瑠璃。……?」
「おはよう、瑠璃ちゃん」
乗り込んで来たのは、スーツをビシッと着こなしたふたり。
さおりさんは、私と凜久を見てニコニコしている。
きっと…分かってるんだろうな。
――私と、凜久の関係。
それに比べて、遊くんは……。
凜久を見てすごく驚いた顔をしていて。
「今日から――よろしくお願いします。…楠木さん」
そう言って微笑みながら手を差し出す凜久だけど。
その笑みはどこか……
挑戦的に見えたんだ。