年下カレシに蜜な罠


「瑠璃…?」

あおいには、私の気持ちや取り繕う表情も全部お見通しみたいで、俯いた視線の中に顔を覗かす。



「凜久くんの事を想うキモチは、イチバンでしょ?」


"イチバン"

その言葉が私の心の中で温かく溶けていく。


「ほら、行くよっ!」

私の腕を引っ張ると、そのままクラスまで走っていく。



「女は度胸」

私の背中をパチンと弾くと、軽くウインクまでしてくれた。






「う、うん…!」



女の子たちが群がっていて、中にいる人は分からない。


でも絶対凜久だ…――!


ギュウギュウと押されながら、必死に中へと迫っていく。



「…り、く…――」


赤い花を手の中へ握り締め、少しずつ少しずつ近付く。



――……でも。


< 16 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop